書評『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』(光文社新書)

書評『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』(光文社新書)

これけっこう売り切れてて、Amazonでもなかなか買えなかったので、初めて楽天ブックスで購入しました。昭和30年代の日本がカラー写真で見られる貴重な資料となります。

駐日米軍の軍属として来ていたウォーリー・ビギンズという鉄道ヲタクのアメリカ人のおっさんが当時は貴重だったカラー・フィルムで撮りためた日本の風景がかなり全国網羅的に掲載されていました。

秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本

実は、このおっさんの写真がけっこう好きで、写真展があるとよく見に行っていました。従軍していたカメラマンかと思っていたけど、軍属だったんですね。

撮り鉄だそうで、さすがに電車の写真が多いのですが、その電車が走る風景が昭和30年代の日本なわけです。私は白黒でしか昔の写真を見たことがないので、とても感動しました。とうとう書籍になるというので、急いで購入したわけです。

何がすごいって、「あ、昔って色があったんだ!」ってことですよね。

昭和40年代前半から向こうの日本って、カラーで見ることなんてないじゃないですか。私の感覚では1970年代と60年代以前って脳の中で分断されているんですよね。はっぴいえんどはカラーだけど、チャック・ベリーは白黒じゃないですか。

つまり、何が言いたいかっていうと、

昭和30年代も今に繋がる日本だったんだってことが理解できたんですよね。言ってる意味、分かります?(笑)

「前のオリンピック」とか言われてもねえ

石原慎太郎なんかが、昭和39年の東京オリンピックのことや昭和45年の万博のことを持ち出して「夢をもう一度!」と言われても、生まれてねえし、まったくピンとこないんですが、この写真のおかげで「そうかあ、平成も昭和と繋がってんだなあ」という当たり前のことが分かったような気がしました。

昭和30年代って、ウォシュレットもないし、洗濯機もレバー回すやつだろうし、風呂も全家庭にないだろうし、さぞみんな薄汚いんだろうなあと勝手に想像していたんですが、写真を見るとなぜかみんな小奇麗なんですよね。

白黒写真しか見たことないし、発見だらけなんですよ(笑)。

近鉄特急走ってるし!

とくに驚いたのは「行楽(レジャー)」という項目で、お洒落な服を着て芝生に座っている女性や、川でボートに乗ってデートするカップルとか、海水浴とかスキーとかの写真が、あまり今と遜色なくて違和感もないんですよね。「近畿地方」の項目には近鉄特急の2階建てビスタカーが1962年に写ってるし、すげー! 日本って頑張ってたのね、と。

正直、今日の北朝鮮より違和感がありません。

街は正直ショボくて、日本全国が田舎!って感じですが、なんかすんごいワクワクする写真ばかりなんですよね。というか、日本の田舎って、この頃からあまり変わっていないような気もします。

こうやってオリンピックを呼んだり、万博を呼んだりして、日本も少しづつ立ち直り、国際社会に認められていったわけですね。

オカンが言ってた昭和が分かった気がした

集団就職でどうのこうの、新幹線は岡山までしか行かなかった、道路なんて舗装されてなかった、力道山の試合を近所のテレビのある家に集まって観た。

こんなことを聞いても、「貧しかったんだなあ」とか「嫌だなあそんな世界」としか思わないじゃないですか。日本に学生運動が起こるまでは、みんなはだしのゲンみたいな暮らしだったのかと思い込んでましたし。

でも写真を見る限り、今と変わらないものもけっこうあるんですよね。スーツとかパンプスとか自転車とかリヤカーとか。今でも日本のあちこちで現役で見かけるものがたくさん写されていました。

私が体験した、固定電話しかなかった時代から携帯が生まれて、今のスマホになったように、オカンの昭和も徐々に恵まれていったということが想像できるようになった一冊です。

貴重な資料だと思うので一家に一冊いかがでしょう。