成人雑誌編集者たちの平成異臭騒ぎ 手術室でバタバタと倒れる人たちが!

成人雑誌編集者たちの平成異臭騒ぎ 手術室でバタバタと倒れる人たちが!

この事件は今でも忘れることができなくて、時々夢でうなされることがあります。なぜ私は、あんな事件に巻き込まれてしまったのでしょうか。

私が実話誌に配属される前に、成人雑誌いわゆるエロ本の編集部で働いていたことは以前にもお話したと思います。

今から考えると古き良きエロ本でした。私たち編集者が企画を立て、モデルを選び、カメラマンを起用し、現場で指揮をする。編集者という人間の思いがグッと詰まった雑誌を作っていたのでした。

登場するモデルさんも有名人ばかり。一時期の恵比寿マスカッツなんて、ほぼ全員撮ったことのある人ばかりでした。吉沢明歩や蒼井そらやみひろが現役バリバリだった頃です。

 

※この物語は2019年5月にBLACKザ・タブーのメルマガで配信された記事を一部加筆修正したものです

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ある時、病院モノのグラビアを撮ることになりました。病院スタジオと言えば、プラネアールの初台玉井病院スタジオです(今はもう使えないみたい。ラブハウス初台DOORSの真裏)。さっそく予約をして、撮影の段取りを組みました。

こういう古めかしい手術室です
http://www.planear.co.jp/images/hatudaitamai/1f/_G4A6157.jpg

現場を仕切るのは副編集長の三橋さん。サブはヒラ編集のSと私でした。モデルさんはキカタンでしたが、当時はまあまあ有名な方で、カメラマンはちょっと覚えていません。ヘアメイクはBのI さんとそのお弟子さんだったと記憶しています。

この病院スタジオ、テレビなんかでもよく使われています。特に、世にも奇妙な物語的な、ホラーもので。

病院自体が古めかしくて、壁とかも模様が出ちゃってるし、とにかく薄気味悪いんですよ。モデルさんによっては「降霊」してくるらしく、撮影中にパニック障害起こしちゃって大変なこともよくありました。病院なのでいろんな人が死んでいるし、お化けなどにはめっぽう強い私でさえ、あそこはけっこう苦手でした。

 

全体像はこんな感じ
http://www.planear.co.jp/wp/wp-content/uploads/2013/07/G4A74921.jpg

私が実際にここで撮った写真(3つ目の画像)

北九州連続監禁殺人事件記事、全文掲載について

 

撮影は、朝から順調で、病室や薬局、廊下などで撮影して行きました。内容はベタなモノで、ナースが夜な夜な医者や患者と性交している的な企画ものグラビアでした。

 

昼ごはんをみんなと食べながら、
「しかしここは薄気味悪いねえ」
と誰かが言います。

「ええ、もう古いし取り壊しになるでしょうね」
副編の三橋さんが答えます。

BのI さんは、
「私が若い頃からあるわよ、ここ」
と病院スタジオの歴史を教えてくれました。

 

プラネアールって都内のスタジオの中でも比較的安い方で、よく『相棒』でも使われていることを目撃します。特によく出てくるのが江古田スタジオ。ここで張り込んでいたら、いつか水谷豊に会えると思いますよ。

http://www.planear.co.jp/studio/ekoda_1.html

 

「ようし、じゃあ昼飯食べたら、手術室でメインカットを撮ろうか」

三橋さんが士気を高めます。

「岡本くんジュースとかお菓子を追加で買って来て」

 

これから日が暮れるまでノンストップで撮影が再開されます。休憩用の飲み物などを補充するように命令されました。

人がたくさん死んだであろう、手術室で撮影をするには、気合が必要なのです(ここは元病院を居抜きでスタジオにしたものです)。

甲州街道沿いのコンビニで買い出しを済ませ、8〜10分でスタジオに戻ってきた時、そこはさきっまでの牧歌的な雰囲気はありませんでした。

手術室の前の暗い廊下に、編集者Sが倒れていたのです。

「え? Sさん、どうしたの!?」

当時、V&Rという異色AVメーカーから転職してきたSさんに異変が起きています。私は驚きました。

「いや、、、めまいが、、、アレが………」

それだけ言って、Sさんは「うーん、うーん」と唸りながら、身体をエビのように丸めていました。

病室で何かあったのでしょうか。

しかし、手術室の中からはストロボが炊かれる音が規則的に聞こえています。ドアの隙間からも光が漏れてきています。撮影は続いているようです。

 

 

※この物語は2019年5月にBLACKザ・タブーのメルマガで配信された記事を一部加筆修正したものです

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ギイ………

 

ドアが開いて、誰かが倒れるように出てきました。ヘアメイクのI さんです。I さんも肩で大きく息をして、廊下に倒れこんでしまいました。

「I さん、どうしたんですか!?」

私はまたもや駆け寄ります。

「岡本ちゃん……アレがね……アレが」

そう言うと、I さんもどこか空いている病室へフラフラと入って行きました。

 

一体、どうしてしまったのでしょうか。
何が起きているのでしょうか。

エロ本編集者としては日が浅く、自分の判断で動けなかった当時の私は、撮影中の扉を開けて中に入ることができませんでした。

30分ほど経ち、、、

副編の三橋さんが出てきました。彼は汗びっしょりになって、手で口元を覆っています。当時、まだ初春だったと思います。うっすら寒い時期なのに、三橋さんはなぜか汗だくなのです。

「三橋さん、どうしたんですか! SさんもI さんも、そこで倒れて……」

そういう私に、三橋さんはブローニーのケース(当時のフィルムカメラのホルダー)を渡しながらこう言ったのです。

 

「岡本くん…チェンジ!」

 

そう言って三橋さんもその場に倒れてしまったのです。

中ではカメラマンとI さんのお弟子さんの二人だけで撮影しています。放っておくわけにはいきません。私は気持ちを引き締めて手術室の扉を開けました。そこには汗だくで今にも倒れてしまいそうなスタッフの顔がありました。お弟子さんは床に伏せてしまっています。「三橋さんと代わります!」と言って、一歩足を踏み入れました。

 

 

ギ………ギギギギギギギギギギギギギギ………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

意識を取り戻してから知ったことですが、あの日モデルさんは他の撮影で罹患したクラミジアが発症し、性病の真っ只中だったそうです。狭い手術室の中は、彼女の性器から噴出される性病の臭いで充満し、バタバタと戦士たちが倒れていったのです。最後までその足で現場に立ち続けたスタッフはさすがのプロ! もしくは変態だったのでしょう。

 

これが、エロ本編集者たちの平成異臭騒ぎです。

 

 

※この物語は2019年5月にBLACKザ・タブーのメルマガで配信された記事を一部加筆修正したものです

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