家宅捜索は突然に(2) 警察に「お前が未成年淫行の親玉だな!」と訳のわからない言いがかりを付けられました
- 2020.01.10
- Opinion

そういえば危ない奴だった……
(パート1からの続きです。まだの方はコチラからお読み下さいね!)
一悶着あったところで、刑事が今回会社へ来た経緯を話し始めました。
「あなた、A将軍って人、知ってますよね?」
……その名前を聞いた瞬間、固まりました。いや待ってよ、そいつ絡みで警察来てるの? これはマズいことしか起こらないぞ……。
「はい…知ってますが、彼が何か?」
A将軍とは、当時50代くらいのガタイのでかいオジサンで、趣味で未成年をナンパしてはハメ撮りばかりしている超有名な「投稿者」でした。
アップル通信とかオレンジ通信とか、素人のカメラマンが自分の彼女、奥さん、愛人、奴隷メス豚、M女などに猥褻な行為をさせ撮影し、そのフィルムを編集部に送り掲載されることを楽しむという書店売りの雑誌が存在していました(今でもありますが)。
それらの雑誌の中でもペンネーム・A将軍は大人気で、あのアスピリンスノーと並んでファンからは「巨匠」とまで呼ばれていた人物でした。
実は私は彼からハメ撮りの写真データをいつも受け取っており、ちゃんと未成年ではないという承諾書を確認した上で、GON!に掲載をしていました。もちろん掲載したページにつきいくらでというギャラも払っていました。
ただ、こいつ、本当に危ない奴で、自分の気に喰わないことがあると街中でも急に癇癪を起こすような人間でした。また、喫茶店でタダだと分かると無くなるまで冷水機の水を飲み干したりするヤバいやつでした。そして、とにかく金にうるさかった、というか、コスパに敏感な奴でした。
「女の子たちには1円も払っていない」
「車から声をかけてナンパしている」
「JTBで働いていたがナンパしたいのでラブホテルの受付の仕事に変わった」
「実家なので家には明細書とか送るな! 送るなら私書箱へ」
というようなことを言っていました。本当にナンパしただけで付いてきたような子には見えませんでした。だって、彼のビデオに出てくる子はほとんどがアイドル並みにカワイイ子ばかり。グーニーズに出てくるスロースみたいな見た目のこのおっさんと、会ったその日にホテルに入るだろうか。
それと、切り株のような巨根でした。
ビデオの中で女の子が脱ぐシーンやシャワーを浴びている時も、右手で動画を撮り、左手で切り株をシゴいていました。
「くわえてっ! はやくっ!」
女の子が愛嬌で「え〜やだ〜」とか言おうものなら、
「くわえろおgksfぱjさjpjfkんdfpんjpf!!!!」
とブチ切れるシーンが何度も入っており、その度に女の子たちには恐怖の表情が現れます。そして、恐々と切り株を口に頬張るのです。
そのビデオ、すごく怖いんです。でも、出てくる子が全員すごくカワイイんです。なので読者にも人気がありました。T編集長の命令で「Aは続けろ」と言われていたので、私も怖かったけど彼との付き合いを続けていたのです。
警察が言うには、このA将軍と、昨年の4月20日に私が打ち合わせか何かで会っているそうなんですよ。まあ会ってるかもだろうけど、日付までは分からないですよね。
「彼ねえ、捕まったんですよ。未成年を……その……レイプというかね。それで、取り調べで、あなた岡本さんにすべて命令されてやったと自供しているんです」
…………な! ななな、なんてことを!!!
あいつやはり…………殺しておくべきだった!!!
ギギギギギギギギギギギギ………許せない!!!
「刑事さん、そんなわけないじゃないですか! 私は彼と業務として会っていただけで、しかも上司もそれを知っているんですよ?」
刑事はみなまで言うなという顔で、
「わかっています。まあまあ落ち着いて。我々もそうじゃないかと思っています。奴は捕まったの、初めてじゃないんで。だから今日はその、あなたが司令塔じゃないということを確認しに来たのです」
Aがよこした未成年ではないという承諾書は彼が書いたもので全て嘘でした。確かに「全部おんなじ字だな〜」とは思ってはいましたが、当時は私も仕事が辛くて鬱みたいなものでしたから、そんなことは視界に入っていませんでした。雑誌は未成年の性交写真を知らない間に掲載していたのでした。
それから刑事は私を連れて編集部に入りました。警察に雑誌の作り方をいちから説明し、こうこうこうしてA将軍の写真は印刷所へ……などと一日がかりで解説していったのです。
どうして私がそんな場所へ――
社内での説明がひととおり終わると、警察は問題となったGON!の束に「発禁本」という差し押さえ証を貼っていきました。これは売ってはいけない猥褻本であるという烙印が押されたのです。そんなの初めてだったので、珍しくて今でも取ってあります。
ところで、編集長のT氏はいっこうに姿を現しません。いち編集の私がこんな目に遭っているのに、当時の責任者が来ないのはどういうことなんでしょう。答えはこうでした。T氏は当時、社内の人間から「逃げて!」と連絡を受けたというのです。ビリヤードから自転車で家路についていたT氏はそのメールを見て、家には帰らずどこかへトンズラこいたというわけでした。こいつら絶対に許さねえと思っていますので、メルマガでは実名で書いておきました。
「それじゃあ、岡本さん車に乗ってください」
いきなり刑事にそう言われました。え!? 私は度肝を抜かれました。朝からずっと協力的に説明をしている私を、一体どこに連れて行こうとしているのでしょうか!?
「我々はねえ松戸から来ているんですよ。松戸署へ、お願いします」
はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??
なんだよオイ会長、社長!(その時から嫌い)
そんなの聞いてねえぞ!!!
弁護士をまず呼べや!!!!
私は社内でかなり抵抗しました。なんで悪い事してないのに松戸くんだりまで行かなきゃいけないんだ、と。警察の言っていることがまるで理解できなかったんですよ。
当時、私は実話ナックルズの副編でした。私の上司はN編集長でした。Nさんにショートメールを送ります。だってこのあと、もしかしたら携帯が使えなくなるかもだから。
「会社は僕を売ったんですね。松戸に連れて行かれるそうです……」
それを見たNさんは頭にカーーーーッと血がのぼり、役員室に乗り込んで行ったそうです。私を何度も口説いてナックルズに異動させた熱い男です。このメールはNさんのハートに火をつけてしまいました。高血圧で心臓が弱くてニトロ持ち歩いている人なのに、悪いことしたなあ。
「私の部下になんてことしてくれるんだ!」とカッコいい言葉を浴びせたあと、当時はまだ編集局長だった比嘉さん(のちに社長)のところに行き、岡本を何とかしてくれと訴えに行きました。そして、
「俺、とにかく松戸署に行って来ます!」
と、Nさんは西神田からタクシーに乗って松戸署を目指しました。
(つづきは火曜日に!)
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