家宅捜索は突然に(3) 護送車で警察署に運ばれた俺を追いかけるN編集長 その時僕たちの頭の中に流れた音楽は(当時の写真付き)

家宅捜索は突然に(3) 護送車で警察署に運ばれた俺を追いかけるN編集長 その時僕たちの頭の中に流れた音楽は(当時の写真付き)

 

(パート2からの続きです。まだの方はコチラからお読み下さいね!)

 

人生で初めての家宅捜索で出てきたものは…

 

 

その頃、私はというと………

ただ黙って車に乗っていただけなのに、到着したところは私の自宅でした。

ひと言も発していないのに、ですよ?

 

背筋が凍りました。

俺の家、知ってんのかよ……。

じゃあ、何日も前からつけられてたのか……。

 

唖然としている私に刑事は言いました。

「4時38分、今からあなたの家を家宅捜索します。はい、これ令状ね」

人生で初めての家宅捜索でした(その後2回あるけど)。

 

車から降ろされて唖然とする当時の岡本被疑者

 

当時、私は中央線沿いの一軒家に彼女と二人で暮らしており、もちろん彼女は私がハメ撮りの仕事をしているなんて全く知りませんでした。

 

「終わったーーー………」

 

内心、全てが音を建てて崩れていきました。幸い、その時間には彼女も仕事で帰ってきていませんでしたが、6人ほどの人間が家に入って開けたり閉めたりするわけです。異変に気付かないわけがありません。

 

「はい、では今から開始しますー!」

 

そう言って、二人の女性刑事と四人の男性刑事が私の住んでいる一戸建てを捜索し始めました。

 

ただ……少しだけツイていました。

私はまったくもってロリコンじゃないので、家をいくら探してもそういう類のものは出てきませんでした。出てきたのは大ファンである森下くるみのドグマ作品くらい。家には仕事を持って帰らない主義なのです。

 

この時、家宅捜索の様子を写真に撮りました。すっげー怒られたけど、怒り返してやりましたよ。

「俺が俺の家で何を撮ろうが自由だバカヤロウ!」

 

マジもんの刑事よコレ

 

Nさ〜〜〜〜〜ん!!!!

 

 

何も出ない家宅捜索が終わり、もう薄暗くなっていく中、中央線沿いから松戸署へ護送車は向かいます。本当にやるせない気分でした。何もやっていないのに、あの車に乗せられていると「犯罪を犯してしまった」という気持ちになってくるのです。埋もれてしまった冤罪がいかに多いのかということに気付きました。

 

 

ただ、その時点では容疑者ではありません。

容疑者かもしれないという段階の「被疑者」です。

疑われている人です。

疑わしきは罰せずの原則がありますから、一応車内でも自由でした。もちろん携帯もOKでした。

同僚のSから「ハードディスク、バッチリです!」の連絡、URECCO時代の編集長・大島さんから「大丈夫か!?」のメール、仲良くしてた女の子から「次いつ会える?」などのメールを確認していると、プルルっと編集長のNさんから電話がかかってきました。

 

 

「岡本ぉ! いまどこにいるんだ!? 俺、松戸署まで来たぞ! 絶対連れて帰ってやるからなぁー!!」

 

「Nさん、こっちも家宅捜索終わって、いま松戸署の駐車場に入るところ………あ! Nさん、見えました、この車、この車ですよーーー!!!」

 

「見えた、見えたぞ、岡本ぉぉぉ!!! えーい車、止まれ、止まれーーーー!!」

 

 

携帯を耳に当てながら叫ぶNさんの脇を車が通り過ぎます。Nさんが車の後を、走って追いかけてきます!

 

 

「岡本ぉーーーーーーー!!!!」

 

「Nさぁーーーーーん!!!!」

 

 

 

世の中はいつも変わっているから

頑固者だけが悲しい思いをする

 

変わらないものを何かに例えて

そのたび崩れちゃ そいつのせいにする

 

シュプレヒコールの波 通り過ぎて行く

変わらない夢を 流れに求めて

 

時の流れを止めて 変わらない夢を

見たがる者たちと 戦うため

 

 

 

その時、私達の頭の中には、この中島みゆきの『世情』が流れていたことは、釈放されてNさんに「わしの部下じゃ!」と抱きしめられたあとに聞かされました。

 

護送車が警察署内に入りNさんが見えた時、私達の動きはすでにスローモーションのようでした。

 

警察に連れ去られる部下、それを追いすがり走る上司。そんな光景は、私達の中には「金八先生」で加藤が警察に連れられて行き母親が追いかけるシーンしか知らなかったので、自動的にこの曲が流れたのでした。

 

 

これがそのシーンです。

https://youtu.be/Ai9gWCQjrXI?t=21m26s

 

視聴覚室じゃないよ、取調室だお

さて、

取り調べを受けた私ですが、実はA将軍の事件は、単なる未成年淫行事件ではなく、奴がナンパした女の子で数名が行方不明になっているという話が出てきて驚きました。

 

A将軍の実家は栃木です。栃木を中心とした北関東では、よく未成年の若い女性がいなくなったり、遺体として発見される事件が続いています。私は、

 

「え、あいつ……やっちゃったんすか!?」

 

と聞き返しました。

刑事はあくまでも「まだ分からない」としながらも、Aが数人を埋めているような口ぶりでした。

 

そうと最初から言ってくれたら、ここまで抵抗はしなかったのに……と思いました。

 

 

私はNさんが来てくれて、その場で身元引受人になってくれたおかげで、逃走の恐れはないとし、その日に釈放されました。

 

今でも本当に感謝しています。これこそが上司のやるべきことです。Nさんは口先だけじゃありませんでした。ちゃんと部下のフォローを完璧にできる人でした(世の中は口先だけの上司が95%です)。

 

会社に帰り、会長と社長にひとこと「弁護士呼べや、バーーカ!(主旨)」と言い、比嘉さんに「箔が付いたな」とよしよしされてNさんと三人で焼き肉をご馳走になりました。

 

まあ、、、尊敬する比嘉さんに褒められたら「ま、いっか」と思いました。そう思わせる力があるのが比嘉さんです。この二人にちゃんと褒めてもらって、くすぐったい気持ちになったことを今でもはっきり覚えています。

 

ほろ酔い気分で家に帰ったら、彼女が仁王立ちしていたことは言うまでもありません。

 

 

余談:

そんなNさんが会社を辞めて起業してからしばらく会っていなかったのですが、離婚して、子供と家を取られて、再婚して、地方に引っ越し、現在佐川急便で働きながら新しい奥さんの連れ子を育てているという情報を先週聞きました。編集長までやって、とっても部下思いのNさんがこんな人生を辿っているなんて……ひとこと言わせてください。

 

おもろい!!!!

 

 

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