弟から聞いた恐い話

私には全くと言っていいほど霊感ありません。ないどころか、世の中のあらゆる「怖い話」のほとんどは嘘八百だと思っているし、上岡龍太郎ばりに占いの類も大嫌いです。
……ただ、
これだけいろんな人に会い、いろんな取材をしていますとね、嫌いとか嘘だろっていう次元を超えた、「説明できないこと」に直面することがあるんですね。
取材中に心の何処かで「ここから先に行ってはいけない!」という声が聞こえたり、ドカーーーーン!と肩が重くなったりする現象が何度か起こりました。
このブログの執筆者の一人であるViviさんもそうだけど、「あーーこの人は何か見えてるなあ」と思う人も事実居ます。
特に、神社系の話は私はダメで、理由は無いんですが、神社だけは絶対に敵に回さないように気を付けています。神社を見たら必ず一礼をするように心がけています。
さて……、
実は、私の母親と私の弟だけは、家族の中でも霊感がめっぽう強く、変な夢を見た時には必ず電話がかかってきて「出かけるな」とか「気をつけろ」とか言ってきます。若い頃はそれがとてもウザくて距離を取っていましたが、私も取材などで恐ろしい経験をして彼らの霊感をだんだんと受け入れるようになってきました。
一番腹が立ったのは、
私が以前、女の子と同棲していた阿佐ヶ谷の一軒家に母親と弟が遊びに来た時でした。あいつら、玄関からなかなか家に上がらないんですよ。「なに、どうしたの?」と聞くと弟が申し訳なさそうに、
「兄貴、ここはダメだよ……」
と、肩を抑えながらしかめっ面で言うのです。玄関を入ってすぐ右側に二階への階段があり、階段の下のスペースをトイレにしたよくある構造の家でしたが、もうその階段とトイレがヤバいというのです。
「何がヤバいだよ! おまえら失礼だろ!」
私は憤慨しました。自分はいいけど、一緒に住んでいる彼女が怖がるだろうが! という思いがあってイライラしました。少しは気を遣え、何も見えていない人にとっては「単なるイチャモン」にしか聞こえないんですよ。
ただ、その家に住んでいる時は最悪なことばかりが次々と起こりました。
空き巣に入られ120万円ほど盗まれるわ、彼女が私の車を運転している時にオカマは掘られるわ、内臓に疾患が見つかり手術はするわ、(これは今度書きますが)家宅捜索されるわ、その彼女とも別れるわで、本当に人生の中でもかなり沈んでいた期間でした。
そこからもっと新宿寄りのマンションに引っ越してからは、憑き物が取れたように人生が好転し始め、私は心の片隅で「こういうことってあるんだなあ」と思い始めたのです。
引っ越したら体調も仕事も良くなったよ、と母親と弟に言ったら、
「そりゃそうでしょwww」
と二人して笑うのです。
「あそこは、無い無いwww」
と。
それだけ人間は住む環境に左右されるし、土地から受けるパワーというものが重要なんだということを学んだわけです。
言い換えてみれば、いま暗闇を歩いている人たちも、環境を思い切って変えてみれば、好転する可能性があるってことなんですよね。
で、
そんな弟が、
また恐い話をしました。
弟は彼女と2LDKほどのマンションに住んでいるのですが、隣の部屋の住人がけっこう頻繁に入れ替わるらしいのです。
先日も、仕事から帰ってきたらドアノブにお菓子がぶら下げてあり、
「お世話になりました。引っ越します」
という手紙が入っていたそうです。
その時、隣の部屋をみると、すでに玄関には不動産会社によって南京錠がかけられており、空き家になっていました。
(また引っ越したのか……)
弟はそれだけを思い、特に気にすることもなく生活をしていたそうです。
6月。
夜中にサッカー・ワールドカップを一人で見ていた弟は、試合に興奮していました。
パタパタパタ……
ポーランド戦の後半に日本がパス回しを始めたことに激昂した弟。
パタパタパタ……
もしかしたら決勝トーナメントに行けるかもしれないけど、本当にこれでいいのか日本!
パタパタパタ……
こんな無様な試合をするくらいなら負けた方がいいのか? それとも―――
このいつも聞こえてた足音、
隣の部屋じゃなかったの!!!!????
弟は我に返りました。
誰か小さい子どもが歩き回っているような「パタパタパタ……」という足音は、隣の部屋の人のものだと思って特に気にもしていなかったけど、なぜ空き部屋となった隣の部屋から今日も音が聞こえてくるのでしょうか!?
翌朝、弟は起きてきた彼女にこの話をしました。すると、彼女は、
「え? それ私も聞こえてたよ? あれ、隣じゃなかったの?」
なんと、彼女も同じ音をいつも聞いていて、弟と同じように「隣の人だろう」と思っていたので特に話題に上がることもなかったそうなのです。
私は、
「いやいや、下かもしれんし、斜め上の人かもしれんやろ」
とツッコミましたが、
「ちがう。絶対真横から聞こえてくる音なんや」
と言います。
しかも、1ヶ月過ぎて、その音は自分の部屋にも入ってくるようになったと言います。夜、寝る前に洗面所へ行こうと廊下へ続くドアを開けると、暗闇に「パタパタパタ……」という音だけが聞こえ、存在感が増してきていると語るのです。
「たぶん、小さい女の子っぽいんよねえ」
なぜ、そう思うのかは私なんかには理解できませんが、その話を一緒に聞いていた母親も「たぶん、そうだろうねえ」と言っています。こいつらには特殊能力があるようだけど、なんで私には無いんでしょうか?(笑)
しかし、
話はそこで終わりではないんですよ。
8月に入って、隣の部屋に新しい住人が入ってきたそうです。特に挨拶も無かったので、どんな人が入ってきたのかはまだ分からないそうです。
弟も彼女も、毎晩「あの足音」を聞きながら、いつもどおりに生活していました。
すると、隣に住人が引っ越してきて1週間もしないうちに、不動産会社から電話がかかってきたそうです。
その内容は、
「あなたの部屋が騒がしい、という苦情が入りまして」
というものでした。
弟はピンときていましたが、「長いこと住んでいるけど、騒がしくしたことは一度もないし、夜はそんな音も立てていない」と答えました。
すると不動産屋は、
「お子さんとかいらっしゃいますか? なんか人が走り回る音がすごいとかで……」
と言ったそうです。
つまり、
新しい住人は、自分の部屋で夜な夜なポルターガイストみたいなことがリビングで起きているとはつゆ知らず、「なんだか隣の部屋がうるさい!」とクレームを入れたわけでした。
弟は、
「もし、もう一度クレームが入ったら、隣の部屋に直接行って全て話すよ」
と言っていました。
母親は、
「やっぱりねえ。あそこに泊めてもらったことあるけど、夜な夜な誰かが部屋の中を通り過ぎて行くんよねえ」
と、後出しジャンケンみたいなことを言います。
なんやねん、こいつら!
肉親やのにめっちゃ距離感じるわ〜!!
アレクサ、
楽しい音楽かけて〜!(泣)
というわけで、
この話は新展開があったら、また書こうと思います。
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