だから庶民は馬鹿だと言われるんですよねえ 良いようにテレビ報道に煽られた知床半島遊覧船事故

だから庶民は馬鹿だと言われるんですよねえ 良いようにテレビ報道に煽られた知床半島遊覧船事故

 

知床半島に行ったことある人は知っていると思いますが、あそこは羅臼から先の道がなくて「そのままの自然」が保護されている地域です。一般の人は立ち入れないんですよ。すごいでしょ。

 

 

昔、私は雪原の中を車で行けるところまで行ったことがあるんですが、その時は『北の国から』で吉岡秀隆が唐十郎に「娘とヤッたのか!」と詰問される温泉(実際は温泉でもなんでもなくただの海水)のちょっと先で、大量のエゾジカが出てきて、スリップしながらブレーキをかけたという体験をしました。大人が4頭、子どもが6頭ほどいたでしょうか。大人が私に睨みを効かせている間に子どもたちが樹林へ入っていき、あいつらと喧嘩せずに終わりました。

 

 

あいつらが消え去った後も、しばらく呆然としていました。

 

 

そこへ出かけたのは2月7日でした。そう、みなさんご存知『北方領土の日』です。申し訳ないけど早く四島を返してほしくて、ちょっと国後島を見に行ったんですよね。

 

確か標津町だったかな、国後島を眺望できる北方領土館っていうのがあるんですね。きっと北方領土の日だし、いろんな人が集まってきてロシアに向けてアジテーションでもやっているだろうから、それを撮ろうと思いましてね。

 

 

でも、行ったら、客は私だけでした(笑)。

 

 

日本人って本当に北方領土に興味がないですよね。昭和の頃は九州にだって「北方領土を返せ!」っていう看板があったんですけれど、今の日本人はタコばっかですわ(By長渕)。

 

 

で、それじゃあ来た意味がないので、出来るだけ国後島に接近したくて、羅臼まで行って沖に出る船を探していたんですね。そしたらゴジラ観光っていう船が出ているとのことで、極寒の中飛び乗ったわけです。一体どういう使命感だったのか今となっては謎なんですけれど、すきを見て国後へ渡ろうとしていたんですよ。私。凍っている海に飛び込んで。

 

 

で、その船。客は私以外、全員外人。なんでもこの辺の海鳥は珍しいそうで、そいつらに餌をまいて寄ってきたところを一眼レフカメラで撮りまくるのが彼らの目的だそうで、冬はこういうお客さんで潤っていたんでした。

 

客の99%が鳥に向けてシャッターを切っているのに、1%の日本人が国後島をずっとファインダー越しに覗いている。怪しすぎますよね。そこで船長が話しかけてくれたんです。

 

 

「あんた……何しに来たの……?」

 

 

さすがに国後島に泳いで渡ろうとしているとは言えないので、とっさに「あ、いや、あの、ここって『北の国から 2002 遺言』で舞台になっていましたよね? 内田有紀が働いていたコンビニを見に来たんです」と言いました。それはあながち間違いでもなかったので(笑)。そしたら船長が、

 

 

「北の国から??? もう10年も前の話だっぺ。今どき珍しいなあワハハハ」

 

そして、

 

「兄ちゃん、ちょっと運転席においで」

 

そう促されてコックピットへ行くと、そこには『北の国から 2002 遺言』に出演していた田中邦衛や唐十郎たちの写真が貼ってあり、

 

「うち、あのドラマに協力したんだべ」

 

 

 

ええええええええええええええええええええ!!!!????

 

 

 

「唐十郎が沖で遭難するけど、帰ってくるシーンあるべ? あの船、これ」

 

と、船長が私たちが乗っている船の床に指をさして、そう言ったのです。その瞬間、私は卒倒しそうになり、2月の根室海峡にマジで落っこちそうになりました。

 

そんな偶然あるぅ!? 持ってるなあ~とはよく言われるけど、そんな強運ってあるぅ!?

 

そこからは、外人たちが鳥を撮り終えるまで2時間ほど、私はずっとコックピットで船長さんやスタッフさんから撮影の思い出話を聞いていたのでした。国後島もそっちのけで。

 

 

 

でででで、何が言いたいのかと言いますと、

 

 

 

この辺で遊覧船を営むっていうのはとても意味があるってことなんですよ。冒頭でも言いましたが、知床半島は半分から先は人が住んでいません。漁師が海経由で船で行く番屋というのはありますが、基本的に原生林で有史以来人間が住んだことのない土地。そして関門海峡くらいの狭さの海のすぐ向かい側には国後島、みなさん大好き北方領土。そして外人たちに謎の人気の海鳥。遊覧する価値がとってもある地域なんですよ。船じゃないと突端は目視できないんだから。

 

 

 

 

それを調べもしないで、テレビが報じる通りのことを信じ切って、遊覧船を批判している人はちょっとヤバいですよ。

 

社長は海を知らない、とか、ブラック企業だ、とか、足を組んでいた、とか、前科がある、とか、トカナとかウートピとか……。

 

まんまとマスコミが調べてきた都合のいい情報だけをつまんで、関係ない人が遊覧船を批判している。

 

それだけやばい会社なら、こういう時だけ悪口を言う漁業関係者とやらも、普段から忠告していたんですかね。

 

3歳の子も亡くなっているし、とてもとてもこの会社を擁護できる材料はありませんが、これくらいの波だったら普段は他の会社だって出ていたかもしれないとか、特に法律に違反するような遊覧ではなかったとか、もっと冷静な材料が上がってきてから判断すべき事故ではないでしょうか。

 

 

今のままだと、遊覧船が悪い、となり、遊覧で金を稼ぐとはいかがなものか、となり、日本全国の遊覧船に悪影響が出てしまいますよ。

 

いや、大げさではないです。

 

今の日本人のSNSって、こういうことになりがちですよ。ツイッターを買ってくれるイーロン・マスクさんには是非こういう面と、私にずっとかかって解除されないシャドーバンを廃止してほしいですね。

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