9年連続で賞をとった私が「絶対に勝てる」読書感想文の書き方を教えます!

おい子供たち! 元気に夏休みを過ごしているか? なんか小耳に挟んだところによると、夏休みの宿題の中で読書感想文が最も嫌われているんだって? あのねー、それナンセンス! あんなものは最も点が取れるボーナス宿題なんだから悩んでる時間が勿体ない。
はい、そしたらねえ、私がねえ、君たちに「賞を取れる」読書感想文の書き方を教えるんでね、ここを最後までしっかり読んで宿題に取り掛かってください。そしてね、ちゃんと賞が取れたなら、是非一番最後に貼ってある「タブー郎の欲しいものリスト」をお父さんお母さんに教えて、そこから何か贈るように仕向けなさい。いいですかー? はいでは、オネシャーーーーッス!(この喋り方は、昔むかし、マスコミの前で社長が殺された豊田商事の朝の挨拶風を意識してるんで、宿題が終わったら是非見なさい)
まず、みなさんが欲望を燃やすこと!
欲望のないところに目標はない!
継続は力です!
目一杯頑張ってください、おねしゃす!
読書感想文を書く前に
誰に向けて文章を書くのか
君たちはいったい誰に向けて読書感想文を書こうとしていますか? お父さん? お母さん? 友達? 自分のため? 違いますね。そう、読書感想文は大人に向けて書き、大人が良いか悪いかを判断します。その最前線にいるのは「担任の先生」ですね。まず、担任の先生が感心するような「子供らしい」文章を書くことを心がけてください。
担任の先生はいつも君たちのことを観察していますので「これは親が書いたな」というのは瞬時に分かります。絶対に難しい言葉遣いをしないように、しかしそれでいて子供ならではの鋭い指摘を入れ込むことが大切です。例えば、「面白かった」「楽しかった」などと書いてしまっては絶対に賞は取れません。
担任を感心させるには「この子にはこういう一面もあったのか」と読書感想文を通じて思わせることが大切です。求められるのは読解力と言われていますが、そうではありません。読んだ文章を元にしてどこまで「妄想できるか」が鍵となってきます。小学校1年でそれに気付いた私は中学3年生まで9年連続で賞を取り続けました。一番大きかったのは「知事賞」で、まさかの知事から表彰状をもらったことがあります。その極意をここで君たちに教えてあげようと思います。
あらすじは絶対に書いてはダメ
よく「読書感想文なんてあとがきを読んであらすじを書いておけばいいんでしょ」という不真面目な子がいますが、そういった発想力しかない子は公立しかいけません。
読書感想文の大半をあらすじを書いて終えてしまう子は、担任から良い印象を持たれないばかりか、諦められてしまいますよ。彼らもプロですから、それがあらすじなのかそうでないのかは秒で分かります。大人をナメてはいけません。
読書感想文を書くときの基本は、この原稿を読む人も同じ本を読んでいるという前提で書きます。あらすじを書かずして感想文を書くのですが、それがとても難しいことは分かります。ただ、それは本の内容全部を紹介しようとするから難しいわけで、「相手も読んでいる」のだから「主旨」だけを短く説明し「山場」だけに焦点を当てれば良いのです。詳細は後半で。
どんな本を選べば良いのか?
さて、ここが気になるところですよね。ですが簡単です。「読書感想文・課題図書」から選んでください。それも、内容もページ数も薄めのやつで構いません。課題図書マークが貼ってあるなら絵本でも構いません。私は中学生の時に「しあわせのかくしあじ」という絵本で見事に賞を獲ったことがあります。
なぜ課題図書が良いかと言うと、まずひとつめに「このマークが貼られていると全国の図書館がこぞって買ってくれて出版社が潤う」という事情があります。付くか、付かないかで旨みが全然違ってくるんですよ。分かるか子供たち?
つまり、たくさん買ってくれるということは、その本は売れるということになり、多くの人が手に取り知っているというわけです。それだと敵が多いのでは? と思いますよね。ノンノンノン、先にも書いたように、多くの人が知っているのなら「あらすじを書かなくてもいい」というメリットが生まれてくるんですよ。シャンプーのことじゃねえぞ。
そして、売れている本だからAmazonでも1円で見つかったりします。おまえら稼ぎもねえのに親に新品の本を買ってもらおうなんてふざけるんじゃねえよ。送料が250円で251円の中古本を買えばいいんだよ。そうすれば気のゆくまま本に鉛筆でメモが書けるでしょ。大事なところはガンガン線を引いていいからね。
で、絶対に選んではいけない本というものもあります。これは選ばないとは思うけど、一応書いておきます。
僕はここにいる
しかし本当はここにはいない
僕はいったいどこから来たのだろう
こういうことを書いている哲学系の本は絶対に選んではいけません。これは書いている奴がキチガイなので、理解ができるわけありません。先にも書いた「妄想を膨らます」という点において、作者の方がかなり前を歩いているので、付け焼き刃で超えることが出来ないのです。特に洋モノは翻訳の段階で意味が分からなくなっているので絶対にやめましょう。
構成を4つに分けましょう
だんだん、具体的な話に入っていきますよ。読書感想文は低学年なら400字詰め原稿用紙2〜3枚、高学年なら5枚ってところですかね? 少なめに書くのはよくありません。もし4枚で終わりそうなら、頑張ってあと100字ほど足して無理やり5枚にしましょう。先生に「おお、この子は無心に書いたんだなあ」という印象を与えなければいけません。うまい、下手、ではないんですよ。「この子は成長した、うれぴ〜」と教師の最も弱く柔らかい部分をくすぐることが大事なのです。ちゃんと書こうとするなよ!
で、私が推奨する構成はこうです。
1、全てにおいて否定から入る
2、なぜ否定したかの理由
3、生活、または他の本のエピソード
4、冒頭の否定を着陸させる
(5、先生へのメッセージ)
はいはいはい、気付いたかい? あるねえあるねえ、5があるねえ。「話が違う!」と思ったかい? じゃ、次の章で説明するぞ。
賞が穫れる4つの構成
「否定」
よく「読書感想文はカギカッコの誰かの発言から始めるといい」という人がいますが、まあ〜〜なんと手垢のついた古い手法でしょうか。そんなのは小学校で2年連続でやってしまえばバレちゃうし、何度も使えるような技ではないんですよ。
いいですか、よく聞いて、ここ大事。
本というものは、全て出だしで決まります。書店で手に取った人が最初の1行を読んで引き込まれる文。これが出来なければ売れっ子作家にはなれません。小1の君も早ければあと12年で成人となりますよね。そしてそこからは経済活動に引き込まれてしまう。どうやったら物が売れるのかということを小学校から考えておくことが大事なんですよ。
この初っ端で、担任の先生を「ギョッとさせる」一文を持ってくるのです。ここだけが全ての工程で一番大事なところだから、遊んでる時も風呂に入ってる時もじっくりと考えなさい!
かく言う私も、エロ本時代はめくってイキガオ! めくってスジ! はいケツ! ポエム来て〜の、ヨコイチドーン! という本作りをしていたんだけど、きっと君たちが大人になる頃には絶滅しているだろうね。
「否定の理由」
先生をギョッとさせることに成功したら、あとはチョロいもんです。先生はきっと「え、なになに、岡本どうしたの?」となり、次の文章が読みたくて仕方がなくなっています。
なので、ここで「否定の理由」を書くわけですが、ここは清廉潔白な王子様になったつもりで、すっげえカッコいいことを書いてください。大人はこういうのを「歯が浮くセリフ」と言います。これも使っていいぞ。
具体的にどうやるかは後で説明するけど、とにかくここは「綺麗事を言うコーナー」なの。いわゆる伏線ってやつをばらまく部分。もう思いっきり、良い子ちゃんしよう。
「生活、または違う本のエピソード」
でね、ここで少し本から離れます。自分の生活のエピソードをここへぶっ込むわけ。それじゃあ読書感想文じゃないって? ん〜困った子たちだな。だから何度も言ってるように、読書感想文は読書をした感想を書くところじゃないんだって。本を通じて自分というものを大人にアピールする、勉強とは何の関係もない、ただただ点が取れる作文なんだってば。
中には、小学生と言えども「プライバシーを盛り込むのはちょっと……」という子もいるだろう。そういう場合は、他に読んだ本の話でもいいよ。読書感想文に他の本の話を盛り込むなんて荒業過ぎると思うかもしれないが、これはこれで「この子は本が好きなんだな〜」と先生を勘違いさせることができる、すごい技なんだよね。
「否定の肯定」
最後は少しテクニックがいるけど、それほど難しいことではありません。ここまで読んできた先生は、君の妄想力に感動しており、冒頭の否定はもうどこかに飛んでいってしまっています。なので、あえて最初に戻してあげるのです。
大人はきっとハッとするでしょう。「こいつ、伏線を回収しよった!」と。これでもう、97%はわが校を代表してその原稿が市へ、そして県へと出回っていくことは間違いないでしょう。
さらに97%をもっと完璧にするために、次があります。
「先生へのメッセージ」
はい、2つ目に大事な点です。ここをよ〜〜く読んでね。
感想文を書き終えたら、「欄外」に、先生に対するメッセージを書いてください。とても良い子を装いながら。
「山田先生へ この本、ぼくにはむずかしかったけど、がんばってなんどもよみました」
とか、
「山田先生、9月11日、お誕生日おめでとうございます」
とか、
「山田先生へ、9月からもおもしろい本をおしえてください」
など。
私は高校時代でも、全く解けなかった数学の答案用紙には必ずこうしてメッセージを書いていました。そのおかげで3になるところを、いつもお情けで4にしてもらっていました。教師というのは一般社会で働いたことがない大人です。こういうコスいことは、どんどんやってください。
ちなみになんで欄外かというと、もしわが校代表としてコンクールに出品される時に「消しやすい位置で」という意味ね。分かるよね? だから鉛筆で書けよ!
『それいけ! アンパンマン』を例に作文
では、実際に本を読んで読書感想文を書いてみましょう。誰でも賞を穫れることを証明するために、やなせたかし原作のアンパンマンの絵本でやってみたいと思います。
いかなくていいよ、アンパンマン
1年A組 岡本たぶうろう
ぼくは、アンパンマンがきらいです。
みんなアンパンマンがすきだすきだっていうけれど、ぼくはあんなやつ、大っきらいです。
ぼくはおなかがへっても、アンパンマンをたべたくありません。
それは、アンパンマンが、
ジャムおじさんのいうことをきかないからです。
アンパンマンはゆきのたにまにおちたこざるに、
「ぼくのかおをたべなさい」といいました。
こざるはびっくりしたけどアンパンマンをたべました。アンパンマンのかおはすくなくなりました。
そのかえり、アンパンマンは大きなヘビにたべられてしまいました。
でも、あまいものがきらいなヘビは、はきだしてしまいました。
「すこし休んでいきなさい」
あたらしいかおをつけてくれたジャムおじさんがそういっても、アンパンマンはおなかをすかせている子をさがすためにすぐ出ていってしまいました。
いかなくていいよ、アンパンマン!
どうしてジャムおじさんのいうことをきかないの?
ぼくには3つしたのおとうとがいます。
おとうともおかあさんのいうことをききません。
こないだも、ひとりでそとに出たらダメだといわれているのに、おとうとはかってに出てしまいました。
ぼくはおかあさんにおこられるとおもい、おとうとをさがしにいきました。
おとうとはとなりの田中さんのおにわであそんでいました。
「なにをしてるの!」
とぼくはおこり、おとうとをいえまでつれてかえりました。
おとうとはわらっています。そして、
「はい、おにいちゃん」
とちいさなお花をぼくにわたしました。
「おたんじょうびプレゼント」
とおとうとはいいました。
その日はぼくのたんじょうびで、おとうとはぼくにお花をプレゼントするために、ダメだよっていわれていたのに、そとに出てしまいました。
ぼくはアンパンマンがおとうとと同じにみえます。もし、おとうとがアンパンマンだったら、おなかをすかせたぼくにかおをたべさせてくれるとおもいます。
でも、ぼくはおとうとがしんぱいです。
かおがなくなったらどうするの?
おとうとにはジャムおじさんがいないんだよ!
おとうとが本をよめるようになって、もしアンパンマンをよんでしまったら、ぼくはかなしいです。
だからぼくはアンパンマンがきらいです。
※山田先生へ 半年間授業をして下さってありがとうございました。先生の授業は毎回楽しくて本当に楽しみにしています。また休み時間におしゃべりしに行って良いですか?
赤字解説
は? おまえ何いってんの? という方向けに赤字で細かいところを添削してみました。この作文は小1〜小3くらいが書いたと思ってください。
いかなくていいよ、アンパンマン
(なんとここで本のタイトルではなくオリジナルのタイトル!)
1年A組 岡本たぶうろう
ぼくは、アンパンマンがきらいです。
(出た〜! 伝家の宝刀、冒頭の「否定」。これで先生も釘付けだ!)
みんなアンパンマンがすきだすきだっていうけれど、ぼくはあんなやつ、大っきらいです。
ぼくはおなかがへっても、アンパンマンをたべたくありません。
(え、そこまで〜? おい岡本、おまえ何かあったのか? と先生は興味津々丸)
それは、アンパンマンが、
ジャムおじさんのいうことをきかないからです。
(あさっての方向からキタ〜! なんか良い子ぶってるぞ〜)
アンパンマンはゆきのたにまにおちたこざるに、
「ぼくのかおをたべなさい」といいました。
こざるはびっくりしたけどアンパンマンをたべました。アンパンマンのかおはすくなくなりました。
そのかえり、アンパンマンは大きなヘビにたべられてしまいました。
でも、あまいものがきらいなヘビは、はきだしてしまいました。
「すこし休んでいきなさい」
あたらしいかおをつけてくれたジャムおじさんがそういっても、アンパンマンはおなかをすかせている子をさがすためにすぐ出ていってしまいました。
(あらすじはこの程度で充分。アンパンマンってやつの性格と、物語の山場だけを抽出しています)
いかなくていいよ、アンパンマン!
どうしてジャムおじさんのいうことをきかないの?
(はい、ここでタイトルと同じ文が出てくるという高等テクニック! 先生はもうかぶりつきです)
ぼくには3つしたのおとうとがいます。
(ガラッと毛色を変えます。いきなり岡本くんの日常の一コマが挟み込まれました)
おとうともおかあさんのいうことをききません。
こないだも、ひとりでそとに出たらダメだといわれているのに、おとうとはかってに出てしまいました。
ぼくはおかあさんにおこられるとおもい、おとうとをさがしにいきました。
(すこし緊張感を挿入します)
おとうとはとなりの田中さんのおにわであそんでいました。
「なにをしてるの!」
とぼくはおこり、おとうとをいえまでつれてかえりました。
おとうとはわらっています。そして、
「はい、おにいちゃん」
とちいさなお花をぼくにわたしました。
「おたんじょうびプレゼント」
とおとうとはいいました。
(すかさず緩和を入れます)
その日はぼくのたんじょうびで、おとうとはぼくにお花をプレゼントするために、ダメだよっていわれていたのに、そとに出てしまいました。
(ええ話を入れるのは鉄則です。先生泣いてんちゃう?)
ぼくはアンパンマンがおとうとと同じにみえます。もし、おとうとがアンパンマンだったら、おなかをすかせたぼくにかおをたべさせてくれるとおもいます。
(はい、ここ! ここで岡本くんの妄想が爆発します)
でも、ぼくはおとうとがしんぱいです。
かおがなくなったらどうするの?
おとうとにはジャムおじさんがいないんだよ!
(「おとうとにはジャムおじさんがいない」、これキラーフレーズです。市長でさえも泣くでしょう)
おとうとが本をよめるようになって、もしアンパンマンをよんでしまったら、ぼくはかなしいです。
(え? 正義感のある弟がこれを読んでしまったらという心配? おまえの思考回路すごいな! となります)
だからぼくはアンパンマンがきらいです。
(伏線回収〜〜! ソフトランディン〜〜〜グ! ちなみにここで「ぼくがおとうとのジャムおじさんになる」的なうまいことは書かないようにしましょう。あくまでも等身大で)
まとめ
いかがでしたか?
これをあなたの学年のレベルに合わせて書いてみてくださいね。
この構成は大抵の小説に当てはめることができます。
・誰が読むのか
・どんな本にするのか
・4つの構成
・先生へのメッセージ
これさえ正確に考えることができれば、きっとあなたも読書感想文で賞をもらうことができるはずです。重複しますが、私はこの方法で9年連続で賞を獲りました。
ネット上には「読書感想文の書き方」というブログや動画が山ほど出てきます。私もそれを見てみたんですが、正直寝てしまいました。ほとんどの方が、どこで決められたのかが不明な「ルール」というものを持ち出しているので、内容も眠いし、たぶん出来上がったものも面白くはないんじゃないかなあと思います。せっかくなので、おもしろい文章を作ったほうがいいと私は思うんですよね。読書感想文といえども人間が読む立派な文章です。おもしろいものが勝つのはエンタメの世界では鉄則なんです(宿題だっつの)。
で、賞を獲ったら、すぐに親御さんにこのリンクを教えて、物品を贈るように指示してくださいね。
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ではでは、
他の宿題も頑張って、
楽しい夏休みを!!!!
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