キャンプをしているのは楽しいけど僕の心はまったく晴れない オートキャンプ・グランピングなんて愚の愚

キャンプをしているのは楽しいけど僕の心はまったく晴れない オートキャンプ・グランピングなんて愚の愚

 

小学生の頃、ボーイスカウトに無理やり入れられて、ビニール袋に入れてきた米を汚い飯盒で炊かされて、紐の結び方とか日時計とかを作らされたのが、

 

 

ほんっっっっっとうに嫌で嫌で、仕方がなったんです。

 

 

他のことをして遊びたいのに、こんなもんに放り込まれて、来ている奴はガチな奴ばっかだし、河原とか山で飯を作って食っても子どもには何が面白いか意味不明だったんですよね。

僕はじいちゃんに幼いときから「どうやって生き抜くか」を叩き込まれていたので、小学生の時点で火を起こせたし、潜水して魚をとることも出来たし、食べれるキノコと食べれないのを何となく見分けることができましたので、ボーイスカウトにガチになってる大人とかを冷めた目で見ていました。あと、すっげー怒るし、マジで帰りたかった。

 

そんなこんなで小学校高学年からは部活などを本格的にやりだしたこともあって、ボーイスカウトからは一切足を洗いましたし、当時は少数だったけどキャンプとかしている人たちを「阿呆ちゃうか」という目で見ていました。

 

わざわざ不便をしに行って何が楽しいんだろう。あそこでビールを飲んだりしても、急に雨が降って来たらすぐ撤収しないといけないし、そもそもあそこにテントを建てる行為に意味がないよなあ……と自転車で河原で騒いでいる人たちを横目で見ながら部活に通っていました。

 

すっかりキャンプから距離を取りまくっていた思春期でしたが、それからかなり過ぎて、26歳の頃に久しぶりにホームセンターのアウトドアコーナーに行き、テントを購入しました。

 

当時、仕事がめちゃくちゃ忙しくて、家に帰る暇もないくらいでした。30代なかばまでは本当にずっと仕事している生活でしたが、特に20代の半ばは死ぬ思いで働いていました。あまりにも帰れないので、会社で寝るしか無いと思い、それなら寝床を作るしか無いと考え、非常階段の踊り場にテントを建てて寝ようと考えたんですね。

 

ところがこの時は今みたいなキャンプブームが来るだいぶ前なので、ろくなキャンプグッズがなかったんですよ。でっかい重いテントばかりだし、スチールとかグラスファイバーを使っている商品も多かった。専門店に行けばもっと軽量なものもあったんだろうけど、全員が全員プロフェッショナルなわけじゃありませんから、取っ掛かりとしてはホームセンターですよね。でも、当時のホームセンターはキャンプグッズに重きを置いてなかったんですよね。

 

結局、でっけーテントを買ってきて、階段の踊り場に建てて、毎晩そこで寝ていたんですが、まったく安眠など出来ませんでした。寝袋もマットもろくなもんがなかったし、背中は痛いわで散々でした。唯一、自分だけの空間ができるのは良かったんですが、まあ一種の避難生活のようでしたね。

 

最終的にはビルの管理人のおっさんに見つかり激怒され、知らない間に全部捨てられていました。あの親父、今度会ったらタダじゃおかねえぞ。

 

んで、その時に実感したんですよね。重いものってダメだなって。じいちゃんは僕に「身軽でいろ」ってことは教えてくれたんだけど、道具も軽い方がいいぞってことは教えてくれなかった。ようやくそこで気付いたんですよ。

 

 

物は、軽量で、コンパクトであるに尽きる。

 

 

と。そうすれば踊り場のテントを毎日たたむことが出来ただろうし、片付けることもできたはず。最終的に捨てられるっていう惨事を避けられたかもしれない。よし、これからは迷った時は軽くて小さいものを選ぶことにしよう、と。

 

 

その後、キャンプ用品だけではなく、自分が欲しいと思ったものは、なるべく軽くて小さいものを選ぶように心がけました。すぐに持って逃げられるものでなくては、あのビルの管理人のような敵にすぐに捕まってしまい、最悪捨てられたり燃やされたりする。自分が持って逃げられないものを所持しているからいけないんだ…という考え方が強くなっていきました。

 

一眼レフカメラを買う時は、キャノンやニコンみたいなロシアの戦車みたいな小回りの利かないものではなく、オリンパスのOM-1を選びました。世界最軽量最小のカメラは写りも素晴らしかったし、デザインも秀逸でした。もちろん、仕事ではキャノンを使わざるをえない状況でしたが。

 

そこからデジタルに移行するときも、オリンパスが共同でフォーサーズシステムをやるということでパナソニックのカメラにも手を出していくようになりました。こうして文章にしてみると、一貫しているなあ俺(笑)。

 

バイクも以前は大型と中型を所持していましたが、その取り回しの悪さにだんだん疑問を抱くようになり、徐々に原付二種へとシフトしていきました。僕は質実剛健を絵に描いたようなビジネスバイクが大好きで、速いとかかっこいいということよりも、「信頼できる」ということにアドレナリンが出るタイプ。なおかつ、軽量で取り回しがいいので、自転車にエンジンが乗っかっただけみたいな存在にピクピクン先生なんですよね。

このブログでも何度も書いていますが、特にスーパーカブは「息子が独立する時に一台買ってあげるもの」「嫁入り道具に一台買ってあげるもの」だと認識しています。利権に張り付いた乞食たちのせいで日本の免許制度はおかしくなっているけれども、車の免許を取ったら125ccまでは運転できるように法改正してほしいですよね。

 

で、その考え方を飛躍させると、家だってコンパクトにしておかなきゃいけない。つまり、35年もローンを払っていたら、そこから逃げられなくなるし、いつか敵が来た時にぶっ壊されてしまうという危機感を持つようになったんですよ。35年間もローンを払うなんて、年貢が重すぎますよ。軽量コンパクトとは真逆の発想です。

僕は20年前から人口ピラミッドを毎年のようにチェックしていて、ああ少子高齢の限界集落できまくりのヤベえ時代が来るぞと嫌~~~な予想をしてきましたので、家はきっと「でっかい家を買ったけど事業に失敗し家族にも捨てられたおっさんが売りに出した物件」を二束三文で買えるだろうなと踏んでいました。だから時が来るまで絶対に家なんて買わないぞと心に決めた矢先に………、

 

 

東日本大震災が来たんです。

 

 

ここまで読んで頂ければ、これを契機に僕がより強固に【軽量・コンパクト】にこだわり出したことは容易に想像が付きますよね(笑)。あの地震があってから、考え方が変わったわけではなくて、自分が以前から考えていたことの答え合わせみたいなことができてしまったので、その思いをより表に出すようになりました。「マジでいつでも動けるようにしておかないとヤバい」と本気で考えるようになっていったんですね。

 

だから、そう好きでもなかったキャンプにも手を出し始めました。もちろん、ファミキャンとかオートキャンプやら、ましてやグランピングなんて人命を軽視しているような「単なる遊び」をやって来たわけじゃありません。天変地異が起きても生き延びるために、やり始めたんです。だからファイヤースターターなんかで火起こししません。すぐに火が欲しいのなら、あんなものは愚の骨頂ですからね。僕にとってキャンプは有事の際への「予行演習」です。鉄板にこだわって肉を焼いて、重たい道具を山ほど車に積んで他人にマウントを取るレジャーとは一線を画すのです。あんなものは愚の愚ですわ!

 

 

さいとうたかをの『サバイバル』をちゃんと読めよ!

 

 

とは言っても、僕がソロキャンプをやっていることを知った友達から「いっしょにキャンプ行きたい」とか「子どもにバーベキューしてやってくれへん」みたいな誘いがありますので、それはとても嬉しいことなので参加はします。そして、友人達とのキャンプやバーベキューは、何だかんだ言って、やっぱ楽しいんですよね。

 

楽しいんだけど、でも、僕の心は晴れないのです。

 

なぜなら、どうしても「こいつらも助かって欲しいなあ……」と思ってしまうからです。これから日本には巨大地震が何度も起こり、数十メートルの津波が押し寄せてきます。各地で火山も爆発するでしょう。その時、僕一人ではこいつらを全員助けられない。みんなと外で酒をこうして飲むことは楽しいけれど、けど、おまえら死ぬなよ! 心の中でそう叫んでしまうのです。

 

 

でも、今更いい大人に向かって「お前ら有事のために訓練しろ」なんて言っても、ああやっぱりあいつ頭がおかしくなったなと思われるだけです。ただでさえ、すでにちょっと思われているわけですから。

 

そこで、奴らの子どもを単独で遊びに連れ出すことを地道にやっています。頭の柔らかい子どもに「いいか、地震が来たらな……」と何度も何度も叩き込んでいます。僕が嫌いだったボーイスカウトの授業のように。

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